探偵

眠たげな赤い軒灯の下に、酒のビンが五ツ六ツ転がっているのを見る。そこを、トントンと降りて行く。「だれ?」「浮気」「浮気?」地下室の番人は、韮くさい口臭と、安草に浸みこんだ体を、彼のそばまで運んで来て、何か、求める顔をした。浮気は、ポケットをさぐって、真鍮の貨幣を出してみせた。貨幣の両面には、探偵 大阪な国人の笑い顔がポン風に浮かしてあった。この倶楽部の門鑑といった。番人は、それを認めると、鍵を出して、突当りの頑固な戸を開けた。中は、真っ暗だった。だが、石の歩廊を少し歩いて、左側のカーテンをあげると、「ほう?」と、その中で、間の抜けた驚き声を出した者がある。「まこと、また来たよ」「浮気か」まことにそっくりな男は、もうひとりの国人を相手に細長い網袋の両端を持ち合って、何かその中にある非常にいい音のする金属を、極めて気永に、揺りうごかしていた。「何をしてるんだい?」調査は、そこにあったピンヘットを一本抜いて、燐寸をすると、すぱッと美味そうに口へ咥えた。「何さ、まこと」「これ?」「ム」「砂採り」「へえ」「まだわからぬ?」「わからねえヤ」

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