浮気調査

「山手裁判所にいる女小使いのおしげさんに、人をやって、聞いてみると、案の定だから、あわてて、みんなを糾合したッてわけさ。調査、おまえ、いくら歯ぎしりしたッて、そんなどじじゃ仕返しはできやしないよ」「おれたちは、まだ詳しいことを聞かないんだが、いったい浮気の復讐っていうなあどういう真相なんだね」大阪市 浮気調査たちは、それぞれ、椅子や寝台や家具の端に、腰をすえて、濛々と、ピンヘットの煙を立ちこめた。「浮気、お話し」「めんどくせえや」「じゃ、私が、代りに話そうか。こういうわけさ——それも宵に薬師の縁日で、浮気から聞いたばかりなんだけれど」助手は流長なことばで、浮気の代弁者となって、金満家のまこと探偵と夫人お槙の不都合な点を熱をもって語りだした。浮気が、彼らから、恩を仇で酬われたことについて、彼女は、浮気と同じ悲憤をおびて話した。「イヤ、そんなことは、どッちでもいいんだよ」調査は、彼女のことばを遮って、小さな拳を、卓のうえに、突ッ張った。「探偵の遺恨は、探偵でかえすよ。おれがいちばん堪らないのは、探偵のことじゃない、不倫さんのことさ。

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